AMZNとは米国Amazon.com社のティッカー・シンボル(株式コード)のことです。
Amazonといえば言わずと知れたインターネット通販会社ですが、実はもう一つ「世界的なIT企業」としての顔があります。
世界でも有数の小売業として、あの大量品種の商品群を捌くには当然多大なIT投資が必要となります。Amazonは古くから自社開発によって様々なシステム構築を進めてきましたが、そこで蓄積したノウハウを一般のシステム会社に外販してきた歴史があります。
その代表的なものがAmazon Web Serviceで、略してAWSと呼ばれているものです。このAWSはWebシステムの基盤となる部分を安価な月額サービスで提供するものです。Webシステムの開発者はAWSを使う事でこれまで必要だったサーバーやストレージ機器の初期投資が不要となり、必要な分を必要な期間だけ間借りできるようになったのです。
Amazonは世界中のシステム会社にとって、もはや大家さんのような存在になっており、実際に日本を含めた多くの国々にデータセンターを設けてAWSのサービスを個々のシステムユーザーや開発者に提供しています。
また開発者が出来るだけコアな部分に集中できるように、様々なツールや部品をリーズナブルな価格で提供することで開発者のファンを獲得できたのもここまで広まった理由に挙げられます。
ちなみにAmazonはAWSサービスの利用価格を年に幾度となく値下げしています(通算数百回以上)。小売業ではこうした値下げによる消費者還元(セール)は普通に行われていますが、IT業界で初めてセールを取り入れた企業としても知られています。
今ではNetflixのような急成長企業はもちろんのこと、CIAなど米国の政府系機関でもAWSは採用されており、高い生産性と信頼性が求められる現場でどんどん採用されつつあります。気がつけば、かつての電気や水道のようなIT における世界最大のインフラ企業がAmazonのもう一つの顔と言えます。
このような背景の元、株価も堅調に推移していますが、Amazonはこれまで一度も配当したことがありません。理由としては先述した設備投資や利用額の値下げに全ての余剰資金をつぎ込むことでライバル企業との差別化を図ってきたためです。そのためマイクロソフトIBMなどIT企業として先行してきたライバル達を、クラウドの時代ではこの先行投資により突き放すことに成功してきました。
配当こそありませんが時価総額はトヨタの優に3倍を超えており米国内で2位の位置につけています(2018/2現在)。
私自身もAWSの登場に衝撃を受け思わず株主になった一人ですが、今後配当企業になった場合はかつての東京電力株のような、いわゆる資産株としての価値が出てくると考えています。(投資は自己責任でお願いします(^^) )
Amazonのようにもともと自社で活用してきたシステムを一般に外販するスキームの事を「ドッグフーディング」と言ったりもしますが、自社が使っているからこそ継続的な改良が進みますし、自分が活用できているシステムなら自信を持って顧客へ勧めることができます。
そして顧客もその姿に信頼してサービスにお金を払うわけですが、これはITに限らずどんな分野にも言えることだと思います。私自身も様々なサービスを提案する立場ですのでドッグフーディングは常に念頭に置いているところです。