社会人のセブ島英語留学(身も蓋もない感想)

はじめに

10日間ほど休暇が取れたのでセブ島の英語留学に行ってきました。私のスペックとしては

  • TOEIC800前後
  • 文法と基本語彙はほぼ押さえている
  • 会話に必要な瞬発力がほとんどない(のでこれを鍛えたい)

というものです。

当初はGabaあたりの駅前留学も考えましたが、見積りを取ってみると想像以上に高額で「これなら旅行がてら海外で勉強したほうが得るものが多そうだ」と考えたわけです。一週間程度ではもちろん劇的な英語力向上は期待できませんが、スピーキングの口慣らしをするぐらいの目的であればセブ島行きはありかなと思いチケットを予約しました。

それにしても日本の英会話学校における家賃や広告費用の経費は相当なものですね。一等地の教室、CM、電車やネットなどでの大量の広告費などなど、本来お金をかけるべき講師の人件費の経費に占める割合なんてせいぜい20%程度ではないでしょうか。英語学校はコンプレックス産業の一面があるのでこのような勢力がどうしても強くなってしまいますが、新宿の NCCのような真の英語教育を目指す機関がもっと出てきてくれることを願います。

学校選び

少しググればわかりますが、セブ島には星の数ほど英語学校があり、多くの学校は寮も併設して半年や一年単位の留学生を受け入れているようです。セブ島の英語学校は、元々韓国人が格安な英語学習環境を求めて公用語が英語であるフィリピンに目をつけたのが始まりです。

英語話者が豊富にいて、教師の賃金が安く、近場にあるということもあり、瞬く間に日本を含めたアジア地域の英語学習需要を掴んだわけですね。ただ、ここまで沢山の学校が出来てくると昨今では供給過剰になっているらしく、英語と合わせてプログラミングも!だとか筋トレやダイエットなど英語以外の何かを組み合わせた留学コースも誕生しつつあり、もはやなんでもありの様相も醸しつつあります。

さて私の場合は、1週間程度の短期滞在、寮ではなくホテルからの通学希望、仕事の都合で探し始めたのが一週間前、ということもあり、なかなか希望に沿う学校が見つからなく苦労しました。

これまたネットに沢山出てくる留学エージェントにも声をかけましたが、彼らはコミッションビジネスであり、学校の間に立つとどうしても情報が歪んでしまうので、直接学校にアプローチして交渉したほうが効率的でした。最近はメールの他にLINEでのやり取りもできる学校もあるので気軽に内容を調整することができます。

ちなみに、あとで聞くところによるとLINEのやり取りの主は現地のインターンシップで採用された日本の学生さんでした。彼らは寮とランチ代が無償になる代わりに、現地の日本人生徒のサポートや留学検討者からの問い合わせ対応を日々しているとのことです。ただし無給で現金収入がないので日々の生活はかなり切り詰めているようでした。英語の授業も空いた時間でなら受けられるようですが、なかなか勉強に集中できる環境ではなさそうです。日々の会話相手が現地の日本人生徒と日本からの問い合わせなが中心なので、もしかしたら英語より日本語の使用シーンが多いかもしれませんね。何となく搾取感を感じてしまった私でした。

色々と検討した結果、オールマンツーマンで1日6時間の授業の学校を予約できました。費用は1日1万円ほどです。内容はスピーキングを4時間にして残りの2時間をライティングにあてました。発音やボボキャブラリーの授業は短期での効果が見込めないため全てカットしました。

授業内容

さて肝心の授業内容ですが、セブ島の英語留学は身も蓋もない言い方をすると「オンライン英会話のオフライン版」というものでした。つまりわざわざセブ島まで行かなくても、日本で1日6時間のオンライン英会話を予約して受講すれば同等レベルの勉強は可能というわけです。違いはオフラインでリアルに先生と話すか、スカイプ越しにオンラインで話すかの違いだけです(まじでこれだけです)。

しかし、日本にいながら6時間の授業を受けることはなかなか難しく、彼の地での生活を含めた非日常的な環境で英語を勉強すること自体を楽しむ目的であれば、セブ島に行く価値はまぁあるかもしれません。

私が行った学校では、使用する教材はESL向けのテキストがコピーして配布されました。いわゆる海賊コピーですね。しかも何回もコピーを重ねているせいかめちゃくちゃ読みにくかったです。テキストは問題や解説を含めて全て英語での表記なので、この意味でも英語初級者がセブ島に行くと苦労しそうです。初級者のうちは日本語の教材で文法や語彙をマスターした方が絶対効率がいいです。

文法はGrammer in useという英語圏での文法教科書のコピーが教材としてありましたが、やはり日本の教材の方が理解のしやすさでいうと何枚も上です。文法の理解であれば母国語の教材でやったほうが何倍も効率がいいです。(「英語を英語で勉強する」って一見効率よくかっこよくも思えますが文法はさっさと仕上げるべき学習項目なので、母国語で習得して次の段階にいったほうがよい)

TOEIC700ぐらいまでは国内で自力で引き上げ、どうしてもセブ島に行きたい人は1−2週間で行くのがセブ島英語留学の使い方だと思います。

半年や一年をセブ島で過ごす留学コースが多いようですが、正直いくら時間がある学生でもこの期間をセブ島で過ごすのは時間とお金の無駄ですね。留学はその国で勉強するために行くべきもので、英語はその勉強のためのツールに過ぎません。ツールの習得だけであれば日本で働きながらでも充分できるわけで、わざわざツールのためだけに海外留学と称して半年間も行くのはどうかなと思います。後述する普段の生活も決して暮らしやすい地域ではありませんし、同じ遊ぶのであれば様々な地域を旅したほうが自分の血肉になると思います。

各英語学校ともSEOにかなり力を入れており「半年間留学さえすれば英語ができるようになって就職もバッチリ」みたいなブログが溢れているので、この辺りは煽り側の事情をきちっと理解した上で、うまく情報を扱う必要があります。

テキストはすべて違法コピー!

授業中の工夫

ということで私の場合、初日の数時間で「セブ島留学=オンライン英語と同じ」という達観をしてしまったので、今回の留学は、ひたすら会話をする中で、詰まった表現や単語をあぶり出しそれをメモして復習する、という方針にしました。

その際、言い回しでおかしい点があれば都度指摘するようお願いしました。

「この表現で違和感ない?」とか「他の言い方ってある?」などで都度指摘をしてもらったり「あなたの考えは?」「フィリピン人は通常どう考える?」などの問いかけで教師のリアルトークを引き出しながら授業を進めました。

当初は朝の9時から昼休みを挟んで6時間、16時までのスケジュールを組みましたが、集中力はせいぜい2時間程度しか続かなく、復習の時間も考えて、翌日からは5時間にカットしてもらいました。

教師の質

教師はほとんどが大学を出たてといった感じの若いお姉さん達です。皆さんある程度の教養はある感じでした。またフィリピン人特有の明るいノリを持った人たちなのでこの点は助かりました。

ただし語学教師としてのメソッドが豊富にあるかというとそこは余り期待はできなく、放っておくと単にテキストに沿って読み進めることになってしまうので、先ほど述べたように自分がリードして受身にならないようにしないと、何となく時間が過ぎてしまう事になります。

適度に話題を振ったり指摘してほしい点を伝えればどんどんツッコミを入れてくれるし一緒に表現を考えたりをしてくれます。考えてみると、このように一緒に会話を作り上げることがしやすいのは、オンラインよりオフラインの方が有利な点かもしれません。

現地環境

セブ島はリゾート地域とダウンタウンに大きく分けられますが、学校があるのはダウンタウンです。ダウンタウン(セブシティ)はイメージでいうとインドのカルカッタをライトにした感じで、大量のバイクと車が行き交う埃っぽい街でセブ島リゾートのイメージとは全くかけ離れています。

学校へタクシーで向かう途中で水道管破裂の現場に遭遇。子供は大喜びでプール状態、大人はタンクを持ってきて水を汲んでいた(笑)

南の島でまったりしながら英語も勉強、などは期待してはいけません。リゾートがあるマクタン島での宿泊も考えましたが、シティから車で一時間ほどかかるため通学できないし何より物価が高いので諦めました。

混沌のセブシティの中に「IT Park」という経済特区があります。この地域だけは整然と道路が整備され新しいビルが立ち並び緑も多く、外資系企業や多くの英語学校が集まっています。ですので英語学校を探す際は、IT Parkに教室があるかどうかを一つの目安にするといいと思います。この区域は治安も良いし日本食を含めたレストランも多くあり、学生生活には困らないです。

IT Parkはセブ市街とは思えないほど整然としています

セブのホテル

英語学校は基本的に寮生活もセットになっています。しかし私のような社会人にとって寮生活はさすがに自由度もなく生活環境も厳しそうなので、自分でホテルを手配しました。

初めて訪問する旅先のホテル選びって本当に難しいですよね。ホテルは旅の品質を左右する重要ファクターにもかかわらず口コミ情報やホテルのサイトからは自分の希望に合っているかどうかがなかなか分からないものです。口コミなんて自分が何を重視するかでいくらでも評価がわってきますからね。

とはいえ、予約もせずに現地に行って探すのも大変なので、私の場合は最初の二、三日分を日本から予約しておいて残りの宿泊は土地勘が出来てくる頃に現地で予約するスタイルを取っています。現地の旅行代理店経由で残りを予約した方が安いケースもありますしね。

今回の最初の宿は、IT Parkからタクシーで20分ほどのクエストホテルを予約しました。一泊五千円程度の中級シティホテルです。セブ島の物価からすると相当高価ですが、ホテル自体の高級感はそれほどでもありませんでしたが、ただ後ほど現地で実際に見て回った同等レベルのホテルと比較すると、立地、スタッフ、食事の項目ですべて満足感が高かったです。最終的にはこのホテルを延泊しましたがそれを感謝されてか部屋をアップグレートしてもらいました。

マーヨホテル

ちなみに最終日は空港からほど近いマーヨホテルというところに泊まってみました。ここは2年前にできたとてもきれいでスペースも広々としたセブシティの中ではナンバーワンと言ってもいいホテルでした。

屋上には小さなプールやバーもあり、風が抜けて空港を見渡す景色が最高でした。ただし市街地から遠いので英語学校に通うにはお勧めしません。

Taxi as a service

セブシティでの移動は全てタクシーでした。地図を見てみて「500mぐらいなら歩けるかな」と一度試してみたところ、行き交う車の道路を渡るのにも命がけ、歩道も途中で途切れてるし、引ったくりにも目を配る必要があるなど歩きの移動はとてもお勧めできません。セブ経済にお金も落とす意味でも距離に関わらずタクシーに乗りまくりましょう。

タクシー利用の際は、GrabというUberと同じようなアプリが大活躍するので、日本にいるうちにアカウントとクレジットカードの登録を済ましておいてください。Grabはアプリから自分の位置と行きたい場所を登録すると車がアサインされ、あとは勝手に目的地まで運んでくれます。お金のやりとりはキャッシュカードでアプリに課金されるためドライバーと直接お金のやり取りする必要がありません。

運転手と行き先の確認や財布を取り出すストレスもなく素晴らしい仕組みです。タクシーはもはやソフトウェアサービスそのものになっていました。買い物はAmazonによってすでにサービス化されているし今後もどんどんこのようなサービスが生まれてくるのだと思うと本当にワクワクしますね。

ちなみにこのサービスは日本人には発想はできても作れないサービスですね。規制がいかに経済やイノベーションを押し下げるかを体感しました。とにもかくにも滞在中のGrabは必須ツールなのでぜひインストールをしておきましょう(日本で設定しておくことをお勧めします)。

セブ島での食事

レストランは高級ホテルを含めて色々と探索しましたが、フィリピンにおける食事の基本は炭水化物と油がメインであることが身をもって分かりました。タンパク質はフライドチキンなどの揚げ物がメインで、期待した豆類もほとんど見られませんでした。また生野菜を食べる習慣がないらしくこの点も苦労しました。ただ、クエストホテルの朝ビュッフェはサラダが出るので毎朝大皿に2杯ぐらい食べて野菜補給をしていました。

今回は台湾を乗り継ぎにしてセブ島に入ったのですが、食事がきつすぎて予定を一日早めて台湾に帰ってしまったほどです(笑)
この意味でもセブ島での生活は英語学習以前にそこそこタフであることを認識しておいた方がいいですね。

アヤラモールのフードコート。チキン&ライスを持ち帰りで。甘辛い味も飽きてくる。

いきなりの長期留学はハイリスク

今回の経験をベースにセブ島に英語留学を考えている方にアドバイスです。

インターネット上にはセブ留学に関する情報はたくさんありますが、そこはやはり情報の中立性はほぼないと思った方がいいですし、実際に行かないとわからないことが多いです。

おすすめはいきなり数ヶ月行くのではなく、まずは一週間程度で旅行がてら実地検証するぐらいの気持ちで行ってみることです。いきなり長期でいくと想定と異なる自体に直面しても前払いした留学費用は帰ってこないし、異国滞在中に色々とリカバリするのは現実的に難しいからです。セブ島へは直行便の他にも台湾経由で行けたりもするので、台湾とセブを旅行がてら行ってみるのもいいかもしれませんね。

セブに限らず語学留学は甘美な広告文句と裏腹に、投資対効果をきちんと評価、見極めた上で目的を設定しないと大抵失敗(金と時間を浪費)しますよー。

台湾の屋台で生き返るの図
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