私がプログラミングを勉強してきてよかったなぁと感じたことの一つは「銘柄情報の収集整理が一瞬で完了し、その後の分析作業にのみに頭を集中できるようになった」ということが挙げられます。
株式投資の売買は、自分が欲しいデータの収集/整理/記録/分析/評価、の繰り返し作業が必要ですが、これらの時間コストや作業品質のバラつきって考えてみると相当ありますよね。
- 「様々なウェブサイトで指標値を調べる」
- 「将来の予想配当収益をエクセルで計算する」
- 「複数企業の増配実績をグラフで表示する」
- 「過去3ヶ月間に出たプレスリリースを会社のHPでチェックする」
- 「持株リストの収益を定期的に計算する」
などなど投資家の数だけ様々な情報分析を行っているわけですが、あーだこーだと調べたりしながらも結局最後は何がいいの分からなくなって「えいやっ!発注!」みたいなパターンの個人投資家さんも多いはずです。(かつての私もそうでした)
でもこれだと結局は「猿がダーツで銘柄を選ぶ」のと同じで、投資銘柄の評価プロセスが平準化ができていないために、気がつけば毎回行き当たりばったりの売買になってしまうんですね。ただでさえ再現性の確保が難しい投資活動ではじめの一歩からつまづいているわけです。
銘柄選定プロセスを平準化できない理由の一つは、調査工程のほとんどが「手作業」で行われていることが挙げられます。
情報収集において、ウェブサイトを複数回カチカチとクリックしながらデータをエクセルに転記してまとめるといった作業は「この作業そのものが大好物」な人を除けば、苦痛と時間の浪費でしかありません。
そしてこのような作業を繰り返し、同じ品質で定期的に実施し続けるのはかなり難しいことです。
しかし、自分が行いたい作業をワンクリック、もしくは毎日決まった時刻に自動的に行うことができるとすると、どんな世界が広がるでしょうか。
我々投資家はそのアウトプットを吟味することのみに自己の頭脳を集中することができるようになれるわけです。
この結果、毎回均質な情報をベースに銘柄選定が行えるようになり、投資結果の成功や失敗の評価が定量的になることで、結果として自分が納得のいく投資活動ができるようになるのです。
「プログラミング」はこれまで無用にかけていた情報収集作業をコンピュータに行わせることができる手段です。コンピュータに「こういった条件で情報を収集して、その分析結果をこのような形でアウトプットせよ!」という命令をかけることができる言語、それがプログラミングなのです。
プログラミングは英語などの外国語と同様にコンピュータと対話するための言語の一つなので、その文法を覚えさえすれば、自由自在にコンピューターを働かせることができます。(しかも人類の自然言語よりも遥かに簡単でいて、何度同じ命令をしても文句も言わず、夜中でも深夜でも、毎日いつでも無料で働いでくれます!)
つまりプログラミングは、銘柄情報の収集や分析にかけていた作業を、コンピューターに精緻かついつ何時でも実行させることができる手段なのです。さながら特定の富裕層しか雇えなかった投資分析ができる超スーパー秘書を雇うような感覚です。
プログラム言語はこれまではエンジニアリング要素が強すぎることで、我々のような一般人が扱うには敷居が高い代物として考えられてきました。しかしここ最近は、プログラミング言語そのものが進化することで学習コストが劇的に下がり、徐々にエンジニアリング以外の分野、特に金融関係などではその有用性からソフトウェアエンジニア以外の職種であるアナリストなどにも普通に使われ始めています。
我々のような非エンジニアでもかつての算盤が電卓になったときのような感覚でプログラミングを身近に活用できる環境はすでにきています。
これからの10年20年の投資生活を、これまで通り紙と算盤で過ごすのか、今後も進化し続けるソフトウェアサイエンスを活用していくのか、投資家としてどちらに価値を見出すのかは明白のはずですね!
こちらの本を教本にした「投資家のためのプログラミング勉強会(投プロ)」を主宰しています。
そもそもプログラミングとはなんぞや、Pythonを実行させる環境をどのように用意するか、などプログラミングにおける超基本的な内容が、我々のような非ソフトウェアエンジニア向けに分かりやすく記載されています。はじめの一歩にはこれ以上ない教材です(^^)